社長&スタッフブログ

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2014.03.27

情熱の革命児 1 (ベトナム日系企業視察の旅 )

 
はい、行ってきました。

今年一発目はベトナムです!
今回も現地の日系企業様に色々と工場を見せていただきました。
訪問企業様は以下のとおり

・㈱フジキン 様
・KYB㈱ 様
・ペガサスミシン製造㈱ 様
・タカラベルモント㈱ 様
・㈱ミツバ 様
・タイガー魔法瓶㈱ 様
・エースコック㈱ 様    ――訪問順


今回は割りピンに関わりのある企業様はあまり無かったのですが、私個人的な理由で言いますと、ちょうど3年前、初ベトナムを経験した折に目の当たりにしたベトナムのバイク・自動車事情が今現在どのように『進化』したのかをこの目で見たかったというのが一番の理由であります。
さすがに3年ほどでは劇的な変化は見られませんでしたが、バイクの種類が多少変わっていたり、自動車の量が増えていたりと、発展途上の加速がそこかしこに見受けられました。
今回は、前回3年前に行った際のレポートよりもう少し細かいことを、もう少し掘り下げた内容でお届けしたいと思います。
その前にベトナムのこと、ベトナム人のことにも触れておきましょう。
 



時差は日本より-2時間。
飛行機は5時間くらいです。
さあ、ベトナムにいざ出発!
 



★正式名称【ベトナム社会主義共和国】
この地球上で唯一、あのアメリカ軍相手に戦争で勝った国です。(アメリカいわく「政治的敗北」らしいです)
首都はハノイです。(ホーチミンではないですよ)
国土は九州を除いた日本の面積とほぼ同じ。
人口は約9000万人です。(ハノイが約800万人、ホーチミンは約900万人)

ベトナムのGDPは約1300億ドル。一人あたりの年間所得平均は約1400ドルで世界平均の15%にも満たないほどのレベルです。

ベトナムの魅力はその平均年齢の若さです。
少子高齢化で瀕死の日本とは真逆の状況で、ボリュームゾーンが20~30代という非常に有望な人口構成になっています。
25歳未満の人口はなんと日本の2倍!
若者が多いその理由は今更説明するまでもありませんが、ベトナム戦争における大量の犠牲者が原因です。
たしかに・・と言ってはなんですが、ハノイもホーチミンもお年寄りを見るのは稀だったと思います。
ベトナムの著しい経済発展は若者達の豊富な労働力によって支えられているわけですね。


★ベトナムのお金
通貨は【ドン】=VND
1VND=0.005円
という感じで、この通貨がメチャクチャめんどくさかったです。笑
今まで使ってきたドルやバーツやルーブルと違って日本円に換算したときに桁が逆に増えるからです。

1USドル = 100円
1VND   = 0.0053円
(190VND = 1円)

・・・わかりにくいです。笑
95,000ドンでようやく500円です。
最初に5000円を両替したときは950,000ドンにもなりました。
ホテルの部屋に置いてあったエビアンをタダ水と間違えてうっかり開けてしまったんでとっさにプライス表を見たんですが、170,000VNDと書いてあるんで目が飛び出そうになりました。
実際には900円ほどです。
インフレ気分を味わいたい方や、お金持ちごっこをしたい方はベトナムドンおすすめですよ。笑
 

★ベトナム人とメシ
ベトナムのごはんで代表的なのは米粉を使った平打ち麺【フォー】です。
ベトナムの国民食ですね。
ベトナム人は週に3回以上フォーを食べるそうで、毎日フォーが朝ごはんという人も多いようです。
・・というか子供も大人もベトナムでは朝食を家ではなく屋台で食べるのが一般的。
屋台は朝の5時から開きます。
毎朝通る道が同じならば、必然的に朝ごはんは毎日同じになりますね。
今回、レストランで食べたフォーはかなり美味しかったです。
薄味のスープに歯ごたえのあるモチモチ麺・・
これはそのまま日本で出しても間違いなくイケると思いました。
北のハノイと南のホーチミンではスープや麺の仕様が少し違うとのこと。
これは日本におけるうどんの関東風・関西風と同じような感じかもしれません。
 

★ベトナム人と労働
ベトナム人の所得。
これは他の周辺国と同じで上から下までかなりの開きがありますので一概にいくらだとはなかなか言えません。
私と同じような年齢の日系企業工場勤務者でだいたい月収9,000円~15,000円位でしょうか。
条件を絞ってもなおアバウト表記なのは都市部と地方では賃金に差があるためです。
去年行ったタイの一般的な工場勤務者の賃金が30,000円前後だったのですから、ベトナムはまだまだ遅れをとっていますね。

ベトナム人は寡黙で受け身です。
ガツガツ前に出て自己主張するというタイプの性格ではありません。
仕事においても言われたことは忠実にこなしますが、言われた以上のことは積極的にしません。
人の上に立ってあれこれ指導したりするのも苦手だと聞きます。
でも会社まわしていくにおいては全員がそれでは困ります。
そういう人材がほしい場合は、大学出身者やエリートを採用して徐々に育てていくのだそうです。
でも、これはベトナム人だから~という理由はあまり関係なく、日本人でも同じような感じかなと思いました。

あと、ベトナムの女子はよく働きます。
工場を見ても労働者の7割は女子という有様です。
ベトナム戦争のときは若い男子は皆戦場へ行きました。
その間、家の主は妻。
夫が帰ってくるまで、家を守りました。
だから今でもベトナムでは女子がしっかりしています。
さらにすごいのは子供を産んでも2、3ヶ月したら子供は実家に預けて、すぐ職場に復帰してくるそうです。
困ったのは男のほう。
あまり働きません。
妻が働いている間、夫は家で寝ていたり、友達とトランプをして遊んだり、たまに力仕事を手伝ったりで、一応役目は果たしているみたいです。
 

★ベトナムの名物風景
ここではベトナムの名物【無茶バイク】のご紹介。

















はい、メチャクチャです。
ベトナムでは3人乗りは違法なんですが、例外は子供の場合。
子供は「一人」とカウントしないそうで、お父さん、お母さん、子供2人の計4人乗りというパターンは実は違法ではないとのこと。
でも、友達同士で4ケツという風景はよく見ました。
完全に違法です。(特にとがめられる様子もありませんが・・)



ちなみに今回一番爆笑した無茶バイクがこちら。


ちょ・・っと!笑
 


★ベトナムのバイク市場
さて、ベトナムでのキチバイクの光景はさて置き、今や世界的にも有名となったベトナムのバイク事情。
そんなベトナムの二輪市場について少しお話ししましょう。
ベトナムのバイク販売規模は中国、インド、インドネシアに次ぐ世界第4位という大きさです。
ベトナムの2013年の二輪の売り上げ台数は約350万台でした。(生産は400万台を超えたあたりです。)
この売り上げ規模の中でも日系3社(ホンダ・ヤマハ・スズキ)が80%のシェアを握っています。
やはりベトナムで圧倒的な強さを誇るのはホンダですが、今回の視察では以前に比べヤマハのバイクが増えたなと感じました。
他にはピアジオ(伊)やSYM(台湾)も一定のシェアを持っています。
ベトナムローカルメーカーもあるのですが、ほとんど見ません。
インドやアフリカで幅を利かせているバジャージ(印)のバイクはまったく見ませんでした。



こちらはベトナムで大人気の車種 ホンダ【エアブレイド125】。
当たり前ですが125ccです。
これが新車で18万円ほどです。
一般ワーカーのほぼ年収に匹敵します。
倍ほどの価格で150ccバージョンもあります。
ベトナムでホンダの、しかも新車の、しかも150ccは羨望のまなざしです。
それだけならいいものの、容赦なく盗まれます。
だから見栄を張りたくても我慢して125ccに甘んじる人も少なくありません。
といわけでベトナムのバイクの大半は125ccです。



そして250cc以上は滅多に見ることがありません。
今回の滞在ではレブル(ホンダ)、ビラーゴ(ヤマハ)、ニンジャ250R(カワサキ)を2、3台見ただけです。
ほとんど見ない理由はもちろん価格の問題もあるのですが、ベトナムでは175cc以上のバイクの免許は政府の役人とパイプがないとほぼ取得が無理だからです。
近々、この理不尽な制度(?)も廃止され、一般人でも取得が容易になるようです。
とは言っても、肝心のバイクが高すぎて買えないわけですが・・。

さらに雲上バイクでは、ハーレーダビッドソンを1台と日本製スーパースポーツを2台見ました。
ベトナムにもスゴい金持ちがいるもんだ。



このように怒涛の勢いでバイク市場が成長しておりますので、予想よりはるかに短い期間でベトナムのバイク台数は飽和状態になるだろうと言われています。
かといって、バイクの次は自動車だー!という具合にベトナム全体がそうなるのかといえば、ベトナムの自動車事情がそう簡単には許してくれません。
それは後述しますが、ベトナムでの自動車の所有は経済的な意味で障壁が高すぎるからです。
年収が増えてもバイクから自動車へのステップアップの「距離」は果てしなく遠いのです。これはつまるところバイクと触れ合う期間が必然的に長くなるという意味でもあります。
だから、ベトナムにおけるバイクの存在というのは我々が思っている以上に人に密着したアイテムであり、己の分身という扱いです。
ただのアシではなく、ファッションであり、ステータスであり、所有感を満たす重要な相棒。
各社がバイクにかける情熱もうなずけますね。



ベトナムの二輪生産の歴史は1990年代半ばから始まりました。
ドイモイ政策のもと、急増する国内需要に応えるため、外資系の二輪会社を誘致してベトナム国内での二輪製造&販売に力を入れようとベトナム政府は考えました。
95年にスズキ、96年にホンダ、98年にヤマハと、90年代後半に日本の二輪企業がベトナム市場に出揃いました。
ただ、それ以前に大量の中古バイクがベトナムを席巻しており、やはりと言ってはなんですが、圧倒的なシェアと品質に定評のあったホンダ(主にカブ)が、それ以降も断然強かったようです。(ベトナムでバイクのことを『ホンダ』というのはそのため)



2000年に入った頃に中華バイクブームがベトナムに到来しました。
これは当時、国内の不況で大量の在庫を抱えていた中国のバイク工場がその在庫処分のあてにベトナムに目を付けたというもので、安価な中国製バイクがベトナムに大量に流入してきた珍事件です。
この中華バイクの勢いはゴキブリの増殖かそれ以上のスピードで増大していき、90年代末には4~50万台と言われていたベトナムのバイク市場が、たった3年で200万台にまで膨れ上がったというものです。
ホンダが販売していた主力モデルの1/3~1/4ほどの価格だった中華バイクは、2001年ごろが最もピークを向かえた時期であり、この時のベトナム国内での中華バイクのシェアはなんと8割にも達したと言います。
タチが悪いことにこの中華バイクは【HONDA】ブランドで売られていました。(つまりホンダの偽物)
しかし、驚きの安さの裏には必ず理由があります。
工作精度もあまく、メンテのことなどもあまり考えられていない構造ゆえ、この中華バイクはよく壊れたそうです。
それまでホンダのバイクがいろんな意味でバイクの「スタンダード」になっていたことを、この時ベトナム人は初めて理解したのです。
また、自国のバイク産業を育てるために外資系企業に門戸を開放したにもかかわらず、この中華バイクは実質、簡単な組み立てだけで形になるキットバイクゆえ、バラバラのパーツでは関税もかけられないおまけに自国のバイク産業も育たないということで、ベトナム政府が国内の組み立て業者に対して厳しい取り締まりを行ったことも、中華バイク減少のきっかけになりました。
この中華バイクは2003年から徐々に数を減らしていき、今では農村部で多少走っている程度にまで減少しました。




ベトナムでシェアバトルを繰り広げるビッグ2のホンダとヤマハですが、現在、部品の現地調達率は金額ベースで9割以上と言われています。
ベトナムにおける裾野産業は、こと二輪に限定して言えばほとんど成熟状態にある・・と、言いたいところですが、原材料の鉄やアルミなどは大半が輸入品であることや、設備が整った焼入れ屋も存在しないということも聞きましたので、実質的な現調率はまだまだ低いのかもしれません。
 


★ベトナムの自動車市場
さて一方、ベトナムの自動車市場の動きはどんな感じなのか、
バイクほど市場自体が大きくないので詳細は書けませんが、現状と今後の動向について書きたいと思います。
まず、バイクと違いベトナムで自動車を所有することは容易ではありません。
その理由は簡単で、単純に「価格が高すぎる」からです。
自動車そのものが贅沢品であるため、かなり高額な税金を納めなければなりません。
まず輸入関税。
ASEAN諸国からベトナム国内への輸入の場合で車体価格の50%が上乗せされます。
他に特別消費税が45~60%(9人乗り以下)、付加価値税(VAT)10%が輸入時にかかります。
他にも車両登録税やディーラーの手数料も上乗せされます。
日本で150万円のトヨタカローラはベトナムでは倍の300万円(!)
レクサスは下位モデルでも1000万円を超えるウルトラセレブリティ―な車なのです。
ベトナムの自動車購入費用は他の東南アジアの国々と比べてもかなり高いです。
・・とはいっても上には上がいるもので、国土が狭く規制が厳しいシンガポールではプリウス1台が1500万円もするのですからそれに比べればベトナムの自動車価格はまだまだ安いほうです。笑
あと、ベトナムでは車検もあります。
制度についての詳しい内容はわかりませんが、新車で買ったものは2年おきに、古くなるにつれて1年車検になるそうです。
自動車の運転免許も取得がかなり難しいようで、実技と学科を合わせて6ヶ月ほどかかるようです。
取得費用は10万円前後。
もちろん一般人は苦労してライセンスを取ったところで運転する自家用車などないわけですから、自動車の免許を持っている人はかなり限られています。



ちなみにベトナム自動車市場でシェアNo.1のメーカーは我らがTOYOTAです。
トヨタシェア35%!
以下、GM、フォード、スズキ、ダイムラー(メルセデス)と続きます。

あまりイメージがわきませんが、ベトナムでは自動車の生産も行われています。
トヨタ自動車も【カローラ】や【ハイエース】をベトナムで生産しています。
日系メーカーやローカルメーカーその他外国メーカーをすべて含めると約20社ほどがベトナムで自動車の組み立て生産を行っています。
しかし、アジアのデトロイトと称されるタイとは違って、ベトナムの自動車産業の裾野はかなり脆弱。
大規模な自動車部品メーカーがないため、部品の大半を周辺国から輸入しているのが現状です。
つまり現地調達が全然できないということです。
ベトナムでの自動車部品生産といえばシートやハーネスのような労働集約型の部品くらいなものです。
メーカーにもよりますが、現調率はだいたい20%~30%ほどだと言われています。
現調率90%と言われる二輪に比べ圧倒的に低いです。



新車販売台数は10万台前後と、タイの1/15程度の規模です。
ベトナムにおける人口の増加と所得の倍増は火を見るよりあきらかで、将来的にはかなり有望な市場に育つのは間違いありません。
ベトナムに工場を持つ自動車メーカーはベトナム自動車市場の将来性について期待をしているのですが・・・
目先の問題として今、ベトナム自動車産業の将来を左右する重大な問題があります。
ASEAN地域からの輸入自動車に対してかけている現在の自動車関税を2018年に全廃するという政府の方針です。

先に言いましたとおり、現在、ASEAN地域からベトナム国内に自動車を輸入する場合50%の関税がかけられていますが、なんとこれが4年後には0%になります。
ベトナム政府の無策が致命的なのは、2018年の時点で完成車輸入の関税は0%になることが決まっているのにもかかわらず、輸入部品に対しては税金免除等の税制優遇制度を特に決めていないということです。

これはどういうことかと言えば、つまり高い税金がかかるのを承知でわざわざベトナム国内に部品を輸入してベトナム国内で自動車組み立て・生産をしている自動車メーカーが、タイやインドネシアから完成車を輸入するほうが無税で安くつくというということで、2018年までにベトナムから工場を引き上げる可能性があるということです。

ただでさえ自動車部品メーカーが貧弱で現地調達が困難なベトナムなのに、そこに加えて高い税金を払ってベトナムで自動車を生産するメリットなどもはや皆無です。

ベトナム政府は早急にこのひずみを修正しないといけないでしょう。
この問題を放置すれば、ベトナムの経済成長に致命的なダメージが及ぶのは言うまでもありません。
こういう現状ゆえに今回訪問させていただいた現地の二輪部品メーカーの方も「ベトナム政府は、自動車産業をどのようにしたいのか・・正直わかりません」とおっしゃっていました。



しかし、ベトナム政府が自動車をこれ以上増やしたくないという気持ちも分からなくはないです。
何せバイクですらあの有様ですから、これから国民の所得が上がり全員が自動車を所有するとなれば、そこらで渋滞のオンパレードになるのは明白。
まともに前に進むこともままならず、都市機能は完全にマヒしてしまうでしょう。
生かさず殺さずの今の方針はそれなりに理にかなっているような気がします。



自動車産業の優遇政策でアジアのデトロイトとまで言われるほど成長したタイ、かたや同じくチャンスがありながら海外資金の呼び込みに失敗しその後20年ほど低成長を続けることになったフィリピン。
2つのモデルケースが頭をよぎる今、ベトナムは難しい選択に迫られています。
後ろを振り返れば、低賃金を武器に怒涛の勢いで追い上げを見せるミャンマーもいます。
躍進を続ける周辺国に埋没してしまわないように、ベトナムは『勤勉』『粘り強さ』といったものを武器に一歩一歩発展してほしいと切に願います。



以上、ベトナムレポート終了です。
 

次回はおまけ編。
今回、エースコックベトナム様に訪問させていただいましたので、それにまつわるエピソードや、ベトナムインスタントラーメンのレポートをお届けしたいと思います。
インスタント麺好きな方は必見。笑

気長にお待ちいただければ幸いです。

ではでは。

 
イッセイ

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